栗東トレセンで3月1日と言えば 新規厩舎開業日 新たに4厩舎が産声を上げる
この季節のトレセン厩舎内は、
午後5時半を過ぎるころには、
人っ子ひとりいなくなり、
それまでの人や馬や大きなトラック(馬運車や飼料屋さんの車)が行き来する喧噪から、
ひと時の静寂に包まれる。
夕陽の光は少し眩しくて、
それでいて優しい。
一日の仕事の中でこのひと時が最も好きな時間である。
大仲部屋(厩舎従業員の休憩所)に飲料を納品したり、
関連施設に設置している自販機の補充などに
誰にも邪魔されることなく勤しめるからだ。
2月も後半にかかり、
この時間の厩舎内に同じ車が行ったり来たり、
忙しく走り回っていた。
車は新たに改装された厩舎に停まり、
厩舎の灯りは夜遅くまで点されていた。
そんな光景を以後何日か目撃することになる。
改装厩舎の主は、
来るべき3月1日のために、
ひとり黙々とその準備を始めているのかもしれない・・・
こんにちは!
サブです!
未明に栗東上空を
(春一番と呼ぶにはやり過ぎ!)
と言いたいくらいの嵐が通り過ぎた3月1日。
「栗東トレセンで3月1日と言えば、何の日かご存知ですか?」
そう!
3月1日と言えば、
防災用品点検の日でもなく、
ファミリーファーストの日でもありません。
新規厩舎開業の日であります。
2017年度の新規調教師免許試験に合格された
高柳 大輔さん
武 幸四郎さん
武 英智さん
安田 翔伍さん
の4名が約1年強の技術調教師期間を経て、本日めでたく開業されました。
引退調教師の解散が前日の2月28日であるために
一日の猶予も持たず
3月1日の開業を迎えます。
厩舎の引っ越し、
馬の移動など、
解散→開業に伴う従業員さんはクタクタの1日を過ごすわけです。
その陣頭指揮に当たるのが新規調教師さん。
その疲労たるや見てるこちらが不憫になるくらい大変なものです。
止めどなく続く出入り業者の挨拶や
留まることを知らないお祝いの花屋さん、
宅急便業者への応対など、
声を掛けるのも憚れるほど。
しかし、安井商店も手を拱いてるワケにはいきません。
たくさんのお祝いの品を新規調教師さんに届けるべく、先生の手の空く隙を虎視眈々と伺い続けます。(開業あるあるその①)
まず始めに向かったのが、
安田翔伍調教師。
言わずと知れた安田隆行調教師の御子息です。
今回の開業で一番若い調教師さん。
先生のお兄さんがワカと同級生で仲良しのため、
弟の翔伍先生とも気軽に談笑。
写真撮影をお願いすると、ふたりでふざけながらポーズをとっていましたが、
重ねてホームページに掲載をお願いすると、改めて、力強くガッツポーズ!
「馬の登録がありますので、失礼します!」
と忙しそうに厩舎を後にされました。
その後、先生のお母さま(安田隆行調教師夫人)を発見。
お祝いのお花を入れてある大きな段ボールを次々と畳むなど手際よくお片付け。
「お手伝い大変ですね。」
と声を掛けると、
「今日からライバルなんです」
とニッコリ微笑まれました。
そうなんですよねー。
お父さま(安田隆行調教師)と同じ土俵に立ったわけですから。
そう遠くない未来、
同じレースで相対することもあるでしょう。
「そういう場合、奥さんはどちらの応援を?」
という愚問を飲み込み、
お隣の武英智厩舎へ・・・・・・
先生は生憎の不在。
厩舎スタッフの指示通り、所定の場所へお祝いの品を並べていく。
午後から先生に挨拶に来る旨を従業員さんに伝え、
武英智厩舎を後に。
すでに12時を廻り、少し腰が痛い。
13時から15時の間、厩舎は交通規制。
13時を過ぎると入門不可になるため急がねば。
倉庫に帰り、2厩舎分のお祝いの品を積み込み。
ワカの車とボクの車。
両方満帆。
時間は13時カツカツ。
滑り込むように厩舎内へ。
まずは、
高柳大輔調教師の厩舎へ。
ここでも、先生は不在。
よくよく考えてみると、安田翔伍先生が
「登録があるので!」
と厩舎を後にされたのを思い出す。
(登録や挨拶周りで忙しいんだ、きっと。)
納品だけ済ませて、午後から(15時以降)挨拶に伺うことに。
「幸四郎先生とこも覗いとく?」
とボク。
「武クンもいいひんやろなー」
とワカが呟く。
ワカと幸四郎先生は幼馴染の同級生。
なので、武クン。
が、しかし、
武幸四郎調教師を発見!
ふたりで先生にお祝いの挨拶。
部屋はお祝いの花で溢れんばかり。
先生と親しくされてる出入り業者の人が
「宅急便のお兄さんや花屋のお兄さんらが先生と会うと、ビックリしはるんですよ。
『握手してください』
言うてる人もいました。」
と教えてくれる。
(そらそやろなー。ボク自身トレセンで約20年お世話になっていますが、幸四郎先生や兄である武豊さんにお目にかかったのは数えるほど)
先生にワカとの記念撮影をお願いすると、
ジャンバーを羽織り、
帽子を被って、
自身のネームプレートの前に。
ワカは
「オレ、よりにもよって、こんな格好で?」
と苦笑い。
記念すべき開業の晴れの日に貴重なお写真いただきました。
ありがとうございます!
やはりスター!
こうして並んでみると、ワカとのオーラの違いを感じないワケにはいかない。
ただ身長だけは負けてない!
今回の幸四郎先生の開業は、
そのネームバリューから競馬界の枠を超えて世間も注目の的。
競馬発展の物語の中で
先生のお父さまである武邦彦さん、
兄である武豊ジョッキー、
そして武幸四郎先生が紡ぐ大河ドラマは常にその真ん中を流れています。
今回の先生の開業で物語は新たな局面を迎え、
これからも私たちを魅了し続けることでしょう。
(先生は開業週の3月3日に初出走。兄である武豊ジョッキーとタッグを組み、見事初勝利!新たな伝説を刻むことになる。)
冒頭の
忙しく走り回っていた改装厩舎の主は
何を隠そう
武幸四郎調教師。
華やかな光の陰には日々の地道な準備がそこに。
開業まだまだ続く・・・