本日のブログは写真なし だが伝えずにはいられないこの奇妙な感じ・・・
ボクことサブは、珍しく店にいて注文の電話をとった。
すべてはそこから始まった。
10月25日。
事実は小説よりも奇なり。
この物語はフィクションである。
「もしもし安井ですぅ~」
(少しテンション高めのよそ行きの声)電話をとるボク。
「安井さん、石坂厩舎です。目野厩舎にお礼のしでコーヒー1箱届けといてもらえます。」
「了解しました。伝票は石坂先生にお付けしておいてよろしいでしょうか?」
「いえ、放馬した馬を捕まえてもらったので個人的に○○に付けといてください。」
「わかりました。すぐに伺います。」
と言ったやり取りをしました。
ボクは早速のしを用意。
コーヒーの箱にかけて目野厩舎へ
「こんにちは!安井です。石坂厩舎さんからお礼で缶コーヒー1箱届けに来ました。」
と厩舎の休憩室である大仲部屋に入ると、そこには目野厩舎のKさんが。
Kさん「石坂厩舎から何のお礼?」
ボク 「放馬した馬を目野厩舎の方に捕まえてもらったとのことで、○○さんから」
Kさん「えぇー石坂厩舎の馬じゃないやろ。牧浦厩舎の馬を捕まえたとは聞いたけど。牧浦厩舎の間違いちがう?」
ボク 「いや、ボクが直接電話で聞いたんで。たしかに石坂厩舎と言われたんですが・・・」
Kさんは馬房のほうに向かって、スタッフに
「おーい!今日捕まえた馬って、牧浦厩舎の馬やなぁ~?」
と問いかけると
「そうです。牧浦です!」
と誰かしらの声。
「なっ。」
とボクの方を見るKさん。
「すみません。石坂厩舎で確認してきます。」
と目野厩舎を後にした。
でも待てよ。
石坂厩舎の馬ではないにしても○○さんは牧浦厩舎ではないし、牧浦厩舎も放馬していたってことか?
何だか複雑。
石坂厩舎に着いたボクは、○○さんに
「すみません。目野さんとこに持っていたんですが、捕まえた馬は牧浦厩舎の馬やと言われるんですが・・・」
○○さん「そうなん。たしかに目野さんとこの人が捕まえてくれたって聞いたんやけどなぁ~」
と怪訝そうな表情。
ボク 「ちょっと牧浦さんとこ行って放馬してはるか聞いてきますわ。」
○○さん「ほな聞いてきてもらえる?」
ということで、
次は牧浦厩舎へ。
「お仕事中すみませ~ん。安井と申します。ちょっとお伺いしたいんですが、牧浦さんとこで今日、放馬ってありました?」
と馬房前でお仕事中の牧浦厩舎の厩務員さんに声を掛ける
「はい、ボクがしました。」
とピンポイントで放馬した厩務員さん。
ビックリ!(+o+)
ボク「すみません。放馬した馬を捕まえたのは目野厩舎の方ですか?」
放馬した厩務員さん 「そうです。」
そういうことか。
リリースした側は、目野さんが捕まえたと言う。
キャッチした側は、牧浦さんとこの馬であると言う。
合致した。
これは間違いない。
それにしても無駄な会話が一切ない無表情な厩務員さんだ。
きっとボクに全く興味がない。
横でやり取りを聞いていた厩務員さんがたまりかねて(?)
「安井さん、それがどうしたん?」
と聞いてきた。
「いやぁ~石坂厩舎の○○さんが放馬されて目野厩舎に捕まえてもらったから、お礼を持って行ってと言われて持って行ったんですが、目野さんとこで『捕まえた馬は牧浦さんとこのやで』と言われたもんで」
たまりかねた厩務員さん「ウチの馬で間違いないわ。○○ちゃんの放馬の件も噂で聞いたわ。時間も場所も違うし、誰かに又聞きして変な形で目野って伝わったんと違うかなぁ」
ボク 「そうですよね。ほな○○さんの馬は目野さんとは違う厩舎の人が捕まえはったってことでしょうね、きっと。」
たまりかねた厩務員さん「そや思うで」
そうか~とりあえず石坂厩舎に戻って、○○さんにこのことを伝えなければ。
そしてボクは再び石坂厩舎へ・・・
「○○さん、目野さんとこが捕まえはった馬は牧浦さんとこの馬で間違いないとのことでしたわ。牧浦さんとこの厩務員さんが『○○さんに捕まえたのは目野さんとこやでと言った人がウチの放馬の情報とごっちゃになってはったんやと思うわ』みたいなこと言うてはりました。」とボク
○○さん「そうなんやぁ~たしかに目野さんとこゆうて聞いたんやけどなぁ~。わかりました。警備課の方で確認とって、もう一回ちゃんと厩舎名聞いて安井さんに連絡するし、悪いけど、そこの厩舎にまた持っていってもらえる?」
ボク 「わかりました。では連絡お待ちしてますね。」
というやり取りをして、一路倉庫に帰ろうかなぁ~と思ったのですが、
待てよ、目野厩舎のKさんに一応、
『Kさんの言われた通りでした、すみません』
と断っておかねばと思い、
再び目野厩舎へ・・・
「何度もすみません、安井です。Kさんおられます?」
目野厩舎の大仲部屋には、仕事を終えたたくさんの厩務員さんたちがテレビを鑑賞中。
「Kさんは帰ったで。なんか?」
とある厩務員さん。
ボク 「さっき石坂厩舎から目野さんへ放馬した馬を捕まえてもらったということでお礼のコーヒーを持って来たんですけど、Kさんが『捕まえた馬は牧浦さんとこの馬やで』と言われたので確認とりに行ったら、やっぱり牧浦さんとこの馬でしたわ。Kさんに断っておこうと思いまして」
ある厩務員さん 「そーかぁー。Kさんに言うとくわ。でも、そのコーヒーせっかくやし置いて行ってくれてたらええで(笑)」
とジョークで返答。
ボク 「お騒がせしてすみませんでした。」
と笑ってごまかしつつ、退散しようと目野厩舎を後にしようとしたところ・・・
「でも、Nちゃん今日石坂さんとこの馬捕まえたゆうてたで」
と別の厩務員さんが衝撃発言。
ボク 「ホンマですかぁ~えぇ~そしたら今日目野さんとこで2頭も馬を捕まえたはったってことですか?」
誰か 「そういうことやな」
一同 「わっはっはっはっぁ~」
マジかぁ~
10月26日現在、栗東の全厩舎数は101。
朝の放馬が2頭あって、捕まえたのが2頭とも目野厩舎。
どんな確率やねん。
目野厩舎が馬を引寄せたのか?
馬が馬を呼ぶのか?⦅いずれにせよ、そこらじゅう馬だらけですが⦆
しかも、それぞれが自分の知ってる情報を親切にボクにちゃんと伝えてくれている。
どれひとつ間違いはないではないか。
ひとつあるとしたら、
牧浦厩舎のたまりかねた厩務員さんが
「○○ちゃんに間違った形で伝わったんちがうかなぁ~」
と推測で言われたことぐらい。
それも放馬した、それでいて無口で無表情な厩務員さん、言い換えると、黙って馬をリリースした表情のない厩務員さんに困っているボクに手を差し伸べたばかりでなく、自分の知っている情報を教えてくれた好意の人である。
仕事中にやってきた酒屋に質問されて丁寧に答える義務は何もない。
この微妙にヅレまくった伝言ゲームにボクは少し興奮を抑えられなかった。
ウソでもない。
別に勘違いでもない。
何も間違っていない。
でも、上手くいかない。
走り回っている。
そしてボクは途方に暮れる(大沢誉志幸)
これを興奮せずに何を興奮すればいいのだぁぁぁぁぁぁ。
あっ、そや!このことを○○さんに早く伝えねば。
(警備課に行ってしまわはるやん。)
と、世界の中心で愛を叫びではなく、
栗東トレセンの中心で叫びながら、
ボクは三たび石坂厩舎へ・・・
「○○さん、何度もすみません。目野厩舎であってました。」
○○さん「そやろぉー、オレ捕まえた人の名前まで聞いたもん。えぇ~っと・・・」
ボク 「Nさんですよねー」
○○さん 「そう!Nさん。」
と会心の笑みの○○さん。
やっとモヤモヤしたものが晴れた表情でした。
あーっ、良かったな。
あぁ~あ良かったなぁ~♪(花花・調)
ホントに良かった。
(今日イチやな)
と思いながら石坂厩舎を後に。
まだ軽く興奮していた。
たぶん、厩舎関係者じゃない人がこれを読んでも、あまりピンと来ない話だと思う。
たぶん、伝わらない。
何よりこの話、オチがない。
でもいいのだ。
これでいいのだ。
反対の賛成なのだ。
書き残しておきたかった。
オッス!
付記 厩舎関係者に話を聞くと、
人間が寒いなぁーと感じはじめるこの時期、馬が最も元気になり活動的になるとのこと。
よって、この時期の放馬は多いとのこと。
放馬によるお礼、どしどし承っております<(_ _)>